株式会社SPACE WALKER(本社:東京都港区、代表取締役CEO:眞鍋顕秀、以下「スペースウォーカー」)は、国立大学法人室蘭工業大学(本部:北海道室蘭市)の白老試験場敷地内にて、推力10トン級メタンエンジンのコンポーネント「ガスジェネレータ(GG)」(ガス発生器)単体の燃焼試験を実施したことをお知らせします。開発中のエンジンは、スペースウォーカーが2028年に北海道大樹町からの打上げを目指すサブオービタルスペースプレーンの「RaiJinミッション」に資するものです。
■開発中のエンジンと「ガスジェネレータ」について
スペースウォーカーでは、性能とコストのバランスを備えたエンジンの実現の為、GGサイクル方式(専用のガスジェネレータを用いてタービンを駆動する仕様)のエンジン開発に取り組んでいます。
燃焼試験を行なったガスジェネレータは、推進薬を燃焼室に送り込む役割を果たすエンジンの重要部品であるターボポンプの動力源として、タービン駆動ガスを発生させるための構成部品です。少ない部品点数で軽量かつ経済性の高さを実現するべく、製造には金属3Dプリンターを使用しています。
3Dプリンターで製作したガスジェネレータ EMモデル
【ガスジェネレータ単体燃焼試験実施概要】
試験内容:
<着火試験> 着火条件を変更し着火の可否およびハードスタート有無を検証
<燃焼試験> GG流量と混合比を変更し燃焼圧、吐出温度、部品各部温度、圧力等の特性取得
試験期間:2025年5月21日~5月28日(計97回)
試験場所:室蘭工業大学 白老試験場敷地内
燃焼時間:最大19秒
試験結果:GGの着火特性および燃焼特性を取得。タービン駆動ガスに要求される燃焼ガス温度分布の均一化を確認。
実施主体:株式会社SPACE WALKER 宇宙輸送部 推進系チーム
協力会社:株式会社SUIHO SPACE INNOVATIONS
【当社が開発するGGサイクルエンジンの主な特徴】
・地上から燃焼する、打上げロケットの1段目用エンジン
・燃料として環境にやさしいバイオメタン(LBM)を採用
・液体酸素(LOX)とバイオメタン(LBM)が直接混合する故障モードを回避する独立2軸式ターボポンプ
・異常時にはエンジンを停止し機体の損傷を避けるヘルスモニタリングシステムを採用
・将来の軌道上再着火への発展性を有する
・シール性に優れた、漏洩に強い設計
■今後の開発について
本試験の結果を受け、今後は「ターボポンプ単体試験」等、他のエンジン部品と組み合わせた各種定格試験へと開発を進行予定です。
また、将来的な量産体制の構築に向けて、スペースプレーンおよび各種コンポーネントの開発・量産化を見据えた体制強化の一環として、2025年5月23日付で実施した福島県南相馬市への本店移転に伴い、開発・生産拠点となる「南相馬工場」の整備を進めています。本工場では主に、エンジンの各構成品の製作、組立て、各種試験を実施し、2025年度中の「エンジン単体燃焼試験」の実現に向けて開発を加速してまいります。
今後も当社の宇宙輸送システム技術開発の進捗にご注目ください。
【会社概要】
会社名:株式会社SPACE WALKER
本社:東京都港区新橋3-16-12 第一横山ビル3階
共同創業者:代表取締役 CEO 眞鍋 顕秀、取締役 CTO 米本浩一
設立:2017年12月
HP:https://www.space-walker.co.jp/
スペースウォーカーは、誰もが飛行機に乗るように自由に地球と宇宙を行き来する未来の実現を目指し、持続可能な宇宙輸送手段を提供するために、有翼式再使用型ロケット(スペースプレーン)の研究開発を行っている東京理科大学発スタートアップです。また、宇宙開発における軽量化技術を転用し、地球の脱炭素化に資する次世代複合材タンクの開発・製造・販売も手掛けています。
【本件に関するお問合せ先】
株式会社SPACE WALKER 広報
メールアドレス:pr@space-walker.co.jp
電話:03-6435-7359